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実験3 有機物の燃焼2016 6 10(火)、11(水)、12(木)
理科室はじめに
前時にいろいろな物質を加熱しましたが、本時は有機物に限定します。有機物の定義はあいまいですが、授業では『炭素を含む物質』としました。そして、(1)空気中で加熱すると酸素と化合して二酸化炭素を発生する物質、(2)酸素が不完全な状態で加熱すると有毒な一酸化炭素を発生する物質、(3)分解して水を発生する物質、(4)炭や灰になる物質、であることを紹介ました。さて、本ページは図1〜図3のみです。詳しい記録をご覧になりたい方は4年前の記録『実験7:有機物の燃焼1年(2012年)』をご覧ください。
本年度の記録
図1:本時の板書(クリックすると拡大します)図1左上の反応式では、空気中で有機物を加熱すると二酸化炭素ができることを示しています。その下でエタノール、綿、天然ガス、砂糖、プラスックを取り上げ、CO2とH2Oが発生することを示しています。
図2:ピンセットに脱脂綿を挟み、息を吹きかけて完全燃焼させる生徒図2の脱脂綿はとても小さくなっています。酸素と化合してCO2とH2Oになるからです。いずれも目に見えない気体となり、空気中に飛散します。煙も出さずに完全になくなってしまうことは、とても不思議ですが、それを目に見えない粒子レベルでイメージさせることがポイントです。
図3:息を吹きかけられる脱脂綿図3のピンセットは繰り返し燃焼実験に使われています。先端部がかなり劣化しているので、それを逆手にして適切な形にすると良いでしょう。
演示実験1:ガスバーナーの炎にビーカーをかざす
ガスバーナーは、都市ガスを燃焼させる器具です。都市ガスは空気中の酸素と化合(完全燃焼)し、二酸化炭素と水になります。二酸化炭素を確かめるためには石灰水が必要ですが、水を確かめる方法は簡単です。乾いたビーカーを炎の上にかざすだででできます。ただし、演示実験にしてくださいね。
図4:炎の上にかざしたビーカー
(実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』から)図4のように、炎の上にビーカーをかざすと、一瞬のうちにビーカー内側が白く曇ります。原因は、都市ガスの燃焼によって発生した水です。ただし、白い曇り(液体)が観察できるのは数秒間です。なぜなら、ビーカー本体の温度が急上昇し、その熱で液体を気体にしてしまうからです。もちろん火傷する前に、白く曇ったらすばやく炎から外してください。それでも、余熱によって、曇り(液体の水)はどんどんなくなって(蒸発して)いきますが、しばらくは観察できます。
ポイントは、炎にかざす前に全員注目させることです。一瞬で終わることも伝えてください。ビーカーはできるだけ冷えたものを使ってください。
水という物質は同じでも、状態によって見えたり見えなくなったりすることを体感させてください。なお、この段階で状態変化・気体&液体という言葉にこだわる必要はありません。それよりも、ビーカー内側に付着した水に触れさせてください。手で触り、匂いを嗅いでみるのです。十分に洗浄したビーカーで行うなら、味を確かめることも可能です。ただし、演示実験&代表生徒の範囲にしておきましょう。
演示実験2:脱脂綿に染み込ませたエタノールの燃焼
図5:脱脂綿に染み込ませたエタノールの燃焼
(実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』から)図5の脱脂綿は白く、まったく変化(燃焼)していません。この視点を教えると、生徒目はキラきらーん、となります。脱脂綿が燃えないのは、エタノールの燃焼温度が低いからです。
エタノールが燃え尽きると、次は、図3や図6のように脱脂綿が燃焼し、ピンセットから全て消え去ります。
図6:図5の続き図6の後、脱脂綿が燃え残ったとすれば、脱脂綿が大量に発生した水を吸っていた、と考えることができます。
終わりに
脱脂綿の完全燃焼実験は、1人1実験です。これは絶対にやらせてください。 エタノールの燃焼は危険ですが、先生の指導技術が十分に高いなら可能です。最悪の事故は、滴り落ちたエタノールが点火し、皮膚や衣服が燃焼することです。
関連ページ
実験7 有機物の燃焼 1年(2012年)
実験1 いろいろなものを熱する 1年(2002年)
実験2 有機物を熱する 1年(2002年)
実験6 炭水化物の燃焼 2年(2000年)実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』
第1章 物 質 都市ガスを燃焼させる p.10〜 p.11 砂糖、小麦粉を加熱する(有機物と無機物) p.12〜 p.13 第4章 化学変化 消したろうそくに火をつける p.43 ガスバーナーを完全燃焼させよう p.47 食べ物(有機物)を加熱しよう p.70〜 p.71 プラスチックを燃やす p.72〜 p.73 有機物から炭をつくる p.74〜 p.75 第8章 物質の分類 p.154
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