このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第17時
観察17ヒトの感覚器官B鼻、舌、皮膚

2017 6 1(木)、2(金)
普通教室

はじめに
 鼻、舌、皮膚の学習は、いろいろな実験が工夫できます。やりすぎると娯楽クイズになってしまうので、よく検討しながら楽しい授業計画をしてださい。今年は2つの実験を行いました。1つは持参させた塩と砂糖で『味覚』、もう1つはつまようじで『痛点の密度』を調べさせました。

 その他アイデアは『観察6 鼻・舌2年(2003年)』、2点弁別テスト(痛点)の詳細は『観察5 皮膚2年(2003年)』にあります。


上:2点弁別テストの様子


本時の目標
・鼻や舌のつくりとはたらきについて理解する
・においと味の共通点、それらの感覚細胞について理解する
・塩や砂糖を使い、味覚細胞の配置を確かめる
・皮膚のつくり、感覚細胞について理解する
・2点弁別テストを行い、感覚細胞の分布を調べる

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 塩 (ごく少量)
  • 砂糖 (ごく少量)
  • つまようじ(数本)
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

 3つの感覚器官について学習すること、2つの実験を行うことを紹介します。また、塩や砂糖、つまようじを持参した生徒を誉め称えることも忘れずに!

(2)鼻のつくりとはたらき (5分〜8分)
 ごく簡単にまとめます。模式図は、断面図とします。私がこだわったポイントは以下の通りです。
 1)鼻孔と鼻腔
 2)鼻孔の鼻毛は、異物の侵入を防ぐ
 3)鼻腔内は、湿っている(犬の鼻のように)
 4)鼻腔に入った物質(におい)は、水に溶ける
 5)感覚細胞は水溶液に反応し、電気信号に変える
  ※感覚細胞には毛が生えている


上:鼻の模式図

ヒトの呼吸について
(1)ヒトは鼻で呼吸(空気の出し入れ)をする
(2)吸気(きゅうき)は、鼻腔内で適切な温度&湿度に調節される
(3)適切に調節できないと、喉の細胞が傷つく(痛くなる)
(4)したがって、口から空気を吸ってはいけない
(5)息は、鼻から吸う
(6)呼気(こき)は、鼻からでも口からでもよい
(7)運動時は、鼻から吸い、口から出す

 陸上部の生徒を指名し、マラソン時の呼吸法を、みんなに紹介させてください。その生徒が理由についても説明できれば、かなりいい感じの授業になります。

(3)舌のつくりとはたらき (3分〜5分)
 舌の平面図を描き、4つの味覚細胞の分布を紹介します。これをクイズ形式(4択)にすると、ちょっと盛り上がります。「舌の先端で感じることができる味は、次の4つのうちのどれでしょう?」という感じです。


上:B組での板書(クリックすると拡大します)

 私がこだわったポイントは、味覚細胞は『水に溶けた物質』に反応する、という点です。これは(2)嗅覚と同じです。味とにおいの共通点に、私は興味を持ちます。また、鼻をつまんで食事をすると味がほどんどわからないことや、鼻をつまんでコーヒーを飲むと水と間違えてしまうほどであることも紹介することもあります(時間のゆとりがあれば、ですが、、、)。そんな実験もしてみたいですね。

 舌にある味蕾、その他の詳しいつくりについて深入りするより、以下(4)の実験をお勧めします。

(4)舌の感覚細胞を調べる(7分〜10分)
 分布がわかったところで、それが本当かどうか調べてみます。

目 的:
 味覚細胞は舌全体に分布しているが、『甘み』を感じるものは先端部に多い(下図)。したがって、先端部につければ甘みを感じるが、それ以外の部分はあまり甘く感じない、一番奥につけた場合は『苦い』と錯覚する可能性もある。これが本当かどうか、実際に試してみる。

 
 上:味覚細胞の分布図

 以上、甘み(砂糖)と同じことを塩からさ(食塩)でも試し、味覚細胞の分布図を検証する。

 

準 備:
 前の時間に、ごく少量の食塩と砂糖を持参するように指示する。それらは、薬包紙のような紙やサランラップに包めで来るようにすれば良い。同時に、実験の目的と方法も連絡しておけば、タバスコや酢を持参したい、という生徒も出てくる。いずれにしても、前時の授業時間内に3分程度の時間を使い、きちんと説明しておくことが大切である。
 先生が準備するようでは面白くない。

 

方 法:
 1)砂糖を出し、なめれる位置におく
 2)舌の先端を出し、砂糖を直接つける
 3)じわっと、溶けるまで待つ
 4)甘く感じる、はず

 5)塩で、1)〜3)を行う
 6)もしかしたら、甘く感じる、かも

 7)砂糖を、舌の一番奥に、おく
 8)じわっと、溶けるまで待つ
 9)もしかしたら、苦く感じる、かも

 10)いろいろな物質使い、舌のいろいろな場所において試す


上:持参した砂糖や食塩を、舌のいろいろな部分で調べる生徒
(その表情は砂糖でも塩でもない、良い表情です!)

先生のためのワンポイント
(1)口の中に入れる実験なので、持参したものだけ、とする
  → 友だちのものは原則ダメ
(2)固体ではなく、液体で試したい
  → 果汁でもやってみたい
  → しかも、鼻をつまんで試したい
(3)ごく少量だけで試す工夫が欲しい
  → 割り箸につける、スプーンを使う
  → 毎回洗う
(4)友だちとクイズ形式にすることで、先入観をなくす

(5)皮膚のつくり(3分)
 時間がないので、速攻スケッチ。毛と立毛筋、それから、5種類の感覚細胞。一番大切なのは痛点。皮膚に関する学習内容&指導方法については、別ページ『』がよくまとまっています。ご覧ください。


上:皮膚に関する板書

(6)実習:2点弁別テスト (7分〜10分)

(7)本時の感想、考察 (5分)


上:B組での板書(クリックすると拡大します)


授業を終えて
 盛りだくさんの内容でしたが、楽しい時間がいっぱいありました!

関連ページ
観察5 皮膚2年(2003年)
観察6 鼻・舌2年(2003年)
骨格と筋肉、感覚器2年(2000年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学

第3章 動物が動くしくみ  動くためのステップ p.46
 水に溶けた味を感じる舌 p.54
 空気中の物質を溶かして感じる鼻 p.55
 5つの刺激を感じる皮膚 p.56-p.57

第16時 ←
ヒトの感覚器官A耳

→ 第18時
観察18中枢神経(脳とせきずい)
↑ TOP

[→home
(C) 2017-2018 Fukuchi Takahiro