このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第75時

実験4 豆電球1個の回路 

2018 1 16(火)
理科室

はじめに
 乾電池1個と豆電球1個の回路を作ります。とても簡単な回路ですが、初めて自分の手で豆電球を光らせることができた生徒は間違いなく大喜びします。

 今年度は、乾電池の電圧測定実習のあとに行いましたが、それでも大満足の様子でした。当初の予定は、豆電球2の直列・並列回路まででしたが、理解度と技能が高いので豆電球3つの回路も組ませました。豆電球のフィラメントを切らないように乾電池を1個に限定したかったのですが、乾電池の数を自由にしても、過大電流で切れた豆電球が5個程度/120人、だったことには驚きです。非常に高い理解度と注意力をもつ生徒たちです。

 ということで、表題は『豆電球1個の回路』ですが、実際は『豆電球の回路』です。


図1:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)


本時の目標
・豆電球を点灯させ、電流に対する興味関心を深める
・複数の豆電球を使った直列回路と並列回路を組み、それらの豆電球の明るさの違いができることを理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 乾電池   (3/2人)
  • 乾電池ボックス (3/2人)
  • リード線    (6/2人)
  • 豆電球     (3/2人)
  • 豆電球のソケット(3/2人)
    ※スイッチは使用しません

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)電子の動く方向 vs 電流の方向(10分)
 電子はマイナスです。したがって、電子はマイナスから動き始めます。どこがプラスか、という問題ではなく、とにかく電子はマイナスだから、電子はマイナスから出るのです。それ以上に説明することはできません。

 しかし、電流の方向は『プラスからマイナスへ』と定義させています。自然界と合わせてくれれば簡単だったのですが、逆になっています。プラスから出るものは何もありません。これをまとめたものが下図2です。


図2:電子の動く方向、電流の方向(これまでのまとめ(電流)2年(2003年度)から抜粋)

図2『電子の動く方向、電流の方向』のポイント
 乾電池内部がポイントです。プラス極が空っぽになっています。そして、マイナス極にたくさんの電子があります。

 生徒には、乾電池のマイナス極にたくさんの電子を書かせてください。そして、マイナス極に導線をつなぐと、その中を電子が動いていくことを教えます。

 2時間前の『誘導コイル』では、電圧が高ければ導線がなくても空中に飛び出す(空中放電)ことを演示実験しています。

(3)豆電球2個の直列回路と並列回路 (5分〜10分)
  「電球2個の直列回路と並列回路を組んだ場合、明るいのはどちらですか?」と発問すると、半数の生徒が間違えます。原因は、つなぎ方を変えるものが『豆電球』であることです。『乾電池2個』を直列つなぎにすると、電圧が2倍になるので豆電球は明るくなります。しかし、『豆電球2個』を直列つなぎにすると、電流が流れにくくなるので暗くなります。

 この内容は14年前の記録『直列回路と並列回路2年(2003年度)』をご覧ください。

豆電球の明るさを直感的に表現する方法
 豆電球の明るさを表現するために、豆電球から8本の光線を書きます。明るさが半分になれば4本の線です。ただし、実際の豆電球の明るさは微妙なので、おおざっぱに表現すれば良いことを伝えてください。

明るさが不安定になる主な原因
1)新品であってもバラツキがある
2)点灯により発熱し、明るさが変わる
3)定格電圧より低い場合、とても不安定になる

(4)実習のための準備 (5分〜7分)
 数々のトラップ(罠、わな)が仕掛けられていることを知らせます。豆電球が切れていたり、導線とクリップがクリップカバー内部で断線していたり、乾電池ボックスの接点が錆びていたり、乾電池の電圧が低すぎたり、などです。もちろん、先生が事前に全て点検しておけば良いのですが、私はあえてしません。トラップをくぐり抜けること、豆電球が光らないとき、その原因を探ること(力)にも重点を置いているからです。

 生徒たちには、考えられる限りのトラップを事前に紹介しておいてください。そうすることで、生徒たちは何か問題が発生した時に、自分たちで原因や解決方法を考えたり、それを試したりすることができます。もちろん、生徒たちが実際に困っている時は、あまり口出ししないようにすることが大切です。友だちどうしで話し合い、解決に近づいていくはずです。

 先生は、鮮やかに回路を組んで豆電球を光られてください。直列回路と並列回路の明るさの違いも演示実験で確認してください。手際よく組み、明快に図示することが大切です。回路を組む途中、わざと失敗することができるようになれば、あなたは指導者として上級者になります。ただし、説明時間が10分を超えるようなら、初心者レベルになります。大切なことは『生徒に失敗させること』です。

(5)実習:複数の豆電球を使った回路 (25分〜30分)
 14年前の記録『実験2回路を組もう2年(2003年度)』を参考にしてください。

(6)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 回路を正しく組み、豆電球を点灯させることができた班は挙手します。先生はそれを点検し、正しければ学習プリントに合格印を押します。合格印は1個ですが、豆電球の明るさを正しく表現できている場合は、合格印を追加します。この作業はとても大変ですが、子どもたちの意欲はますます高くなります。1人6個の合格印をもらう場合、先生は1時間で240回押印することになります。がんばってください!

関連ページ
直列回路と並列回路 2年(2003年度)
実験2 回路を組もう
 2年(2003年度)
実験1 回 路  2年(2000年度)

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

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