このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第91時

実験19 直線を流れる電流がつくる磁界 

2018 2 26(月)
理科室

はじめに
 これまで調べてきた電流は、ぐるぐるコイルを流れるものでしたが、本時は直線を流れます。流れ方は単純ですが、それによってできる磁界がぐるぐるすることになります。どんな位置関係でぐるぐるしているかは、高度な空間認知能力が必要です。先生は高度な知力が要求させることを知らせ、学習意欲を高めてください。君ならできる! と暗示をかけ、美しい模式図で当たり前のように説明してください。自然はいつでも当り前なもの、なのです。

 ただし、先生による解説は1回限りです。理解できない子どもが多数いる場合は、先生ではなく、理解できた子どもにお願いし、教壇で解説してもらいましょう。きっと、先生よりも鮮やかに、あるいは、子どもにあった言葉で解説してくれるはずです。

 その後、実験装置を使って電流と磁界に関する『右手の法則』を確かめます。実験は班単位で行います。

 授業後半は右手の法則を使って、電界と磁界は区別できないことを説明します。つまり、右手の『親指と4本の指』は『電界と磁界』を示しますが、どちらがどちからであるかは決まっていません。自在に入れ替わります。親指が電界なら4本の指は磁界親指が磁界なら4本の指は電界、になります。

 ただし2回めです。授業後半の内容について、100%理解させようとしてはいけません。子どもにとって初めての内容であることを忘れないでください。実は、次の時間、もう一度まとめ直します。


図1:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)


本時の目標
・直線を流れる電流がつくる磁界を理解する
・磁界観察装置を使って、電流がつくる磁界を調べる
・実験結果を、右手の法則に当てはめて説明する
・右手の法則を完璧に使いこなす

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 磁界観察装置  (1/班)
  • 方位磁針    (4/班)
  • 電源装置    (1/班)
  • リード線    (2/班)
  • 鉄 粉     (適量/班)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)直線を流れる電流がつくる磁界(10分〜15分)
 まっすぐに流る電流の方向は、1)下→上、2)上→下、3)左→右、4)右→左、の4つに分けることができます。授業は、番号順に調べます。


図2:下から上へ、直線を流れる電流がつくる磁界

指導方法は14年前の記録『実験12 右手の法則22年(2003年)』をご覧ください。

(3)実験:直線を流れる電流がつくる磁界を調べる (15分〜18分)
 準備室に眠っている実験器具がないか、探してください。人気がない実験なのでしょうか、ほとんどの学校で数10年の眠っている器具があるものです。私自身、本校に赴任してから7年目ですが、初めて使った器具がありましたので、それを紹介します。昭和50年代のものですが、埃を取れば新品のように美しいものでした。よくぞ今日まで、廃棄されることなく残っていたものです。実験時間は5分程度ですが、効果抜群の一品でした。

30年以上前の『直線を流れる電流がつくる磁界を調べる』装置


図3:アルミ製フレームにエナメル線が巻いてあるだけの装置

フレームに書かかれた青のは電流の方向を示す
( 消えるマーカーペンで、私が書いた)


図4:図3と比較するための写真

 図3と図4の方位磁針の向きは逆になっている。


図5:別角度から撮影したもの
アルミ製フレームに書かれた青の方向と方位磁針の方向に注目!


図6:図5と電流の向きを逆にすると、方位磁針が逆向きになる

 図6の素晴らしい点は、班員4人が1個ずつ方位磁針を持っていることです。子どもの中には、どのように置いたらいいのか分からない子がいるのですが、教えあう姿がとても微笑ましいのです。


図7:左奥から右手前に流れる電流を調べる

 図7の方位磁針は、どこに置いてあるかわかりますか。東西南北ではありませんよ。上下左右、でもありませんよ。もっと正確に答えてください。電流は、左奥から右手前に流れています。この電流がつくる磁界を調べるための位置は、上下、だけです。残りの2つはフェイントです。

 図6でも紹介したように、方位磁針を置く位置が重要です。先生は机間巡視しながら確認しますが、4人が正しく置くことができたら挙手させてください。全員間違えていることも、よくあります。


図8:右手の法則を確かめる中央女子

 中央女子の右手に着目してください。親指は電流(青の)、人差し指は磁界の方向を表しています。


図9:別の電流磁界実験セット

 図9の器具は教科書通りで分かりやすいけれど、教えあうことができないので、面白さに欠けます。

(4)直線からコイルへ (12分〜20分)
 図10から図11へ、連続して教えます。図10では親指が『電流』ですが、図11では4本の指が『電流』に変わります。右手の法則は、どちらに『電流』を当てはめても成り立つのです。この指導方法については、17年前の記録『右手の法則2年(2000年)』も参考にしてください。


図10:電流を『右手の親指』に当てはめて考える


図11:電流を『右手の4本の指』に当てはめて考える

(5)右手の法則をスイッチさせる実験(5分)
 (4)について、各班で実験しながら確認する時間です。


図12:右手の法則をスイッチさせるための実験装置

(6)本時の感想、考察 (5分)


図13:A組の授業後風景(本時の板書、先生用実験台など、クリックすると拡大


図14:B組の板書(クリックすると拡大します)


授業を終えて
  30年前の実験装置は最高でした! ぜひぜひどうぞ!

関連ページ
実験12 右手の法則2
2年(2003年)
実験9直線を流れる電流
2年(2000年)
右手の法則
2年(2000年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

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