Home 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)

第96時
世界人口、指標生物

     2019 2 8(金)、12(火)
     普通教室

単元『自然環境と人間の関わり』について
 今日から新しい単元に入ります。

 単元『自然環境と人間の関わり』は、理科ではなく社会科や技術家庭科で教えるべき内容でしょう。明確な線引きは難しいところですが、私は「理科は自然物や自然現象に限定すべきだ」と考えています。自然を認識するのは人間ですから、どんなに人間の主観を排除しようとしても不可能だからです。不可能だからこそ、自然科学は調べれば調べるほどわからないことが増えていくのです。

 私は「理科は自然に対して科学的に感動する力をつけるための教科である」と定義しています。

 しかし、この単元の学習内容の多くは主観的です。例えば、災害と恩恵について考えてみましょう。日照りが続いた田畑への雨は『めぐみの雨』と言われますが、その量が多ければ『大雨による作物被害』になります。その境界線には曖昧で、主観的です。理科を科学とするなら、「多角的に降水量を調べること」に徹するべきです。収穫量や被害量(被害額)を数値化することは簡単ですが、それは社会科の範囲でしょう。いろいろな教科と協力しながら学習を進めるべきです。

 したがって、私はこの単元に重きをおくことを嫌います。教科書の重要語句をまとめ、重要な図版やグラフを正確に読めるようにすることを学習目標としています。主観を排除しなければいけないと思うからです。このページの末尾に、授業で使用している教科書の目次と私の指導計画(3時間完了)を掲載しています。


本時の記録
 世界人口の変化をグラフにしました(図1)。


図1:世界人口の変化(クリックすると別学級の板書)

人口増加の主な原因は次の3つです。
(1)食料の安定
 1万年前、不安定な狩猟や採取生活から、安定した牧畜や農耕生活への転換が始まりました。
(2)エネルギー消費量の拡大
 産業革命(1750年ごろ)で化石燃料(石炭、石油)が蒸気機関車で大量かつ広範囲に行きわたるようになり、エネルギー消費量が一気に増大しました。
(3)医療の発達
 1930年ごろ、抗生物質(ペニシリン、抗菌薬、体内にはいった悪い微生物を殺す薬)が開発されました。


図2:人口増加の原因、人類はいつまで生存できるか?


図3人類はいつまで生存できるか?

 図2と図3には、質問『人類はいつまで生存できるか?』に対する生徒の答えがあります。考える時間や考えるための材料が不十分なことから回答率50%程度になっていますが、およその傾向はつかめます。 100年:35%、1万年:50%、46億年:15%でしょうか。


図4:指標生物、ppm(百万分率)

指標生物
 さまざまな自然環境を示す生物。例えば、とても綺麗な水・少し綺麗な水・少し汚れた水・とても汚れた水、に生活する生物はそれぞれ違う。ただし、何を基準にするかによって、生物の種類がかわる。

 「みなさんがどんなところに住んでみたいですか? 次の中から1つ選び、挙手してください。全員に答えてもらいます。とても綺麗な場所、少し綺麗な場所、少し汚れた場所、とても汚れた場所、以上4つの中から選んでください」

 「次に、自分の部屋について答えてください。とても綺麗な部屋、少し綺麗な部屋、少し汚れた部屋、とても汚れた部屋」

百分率 (%、パーセント)
千分率 (‰、パーミル)
万分率 ( 、パーミリアド)
百万分率(ppm、parts per million、パーツ・パー・ミリオン、ピーピーエム)
十億分率(ppb、parts per billion、パーツ・パー・ビリオン)


授業を終えて
 理科関係の雑学でした。

note:生徒と先生の会話
「私の部屋が汚いのは、掃除する人がいないからです」
「安心してください。肉眼では見えない小さな虫、顕微鏡レベル生物たちが分解、食べてくれていますよ!」

note:単元6 地球の明るい未来のために

教科書の目次

第1章 自然環境と人間のかかわり
1 自然環境の保全
2 自然環境がたらす災害
3 自然のめぐみ

第2章 くらしを支える科学技術
1 衣食住と科学技術
2 輸送•通信と科学技術

第3章 大切なエネルギー資源
1 私たちのくらしとエネルギー
2 電気エネルギーのつくり方
3 エネルギー利用の課題
4 放射線
5 再生可能エネルギー

終章 これからのくらしを考えよう
持続可能な社会にする方法を
考えよう

 

第1時(本時)
第1章 自然環境と人間のかかわり
1 自然環境の保全
 世界人口の推移、指標生物、ppm

第2時第97時
2 自然環境がたらす災害
 気象の予測精度が高くなっているが、地震と火山噴火は予期せぬものが積み重なっていくばかりである。この事実が示すことは、同じ自然現象であっても、人類の力では予測できないものがあること、その1つとして自信と火山噴火の予測であることを認めなければいけない。それが科学、である。
3 自然のめぐみ
 温泉、
第2章 くらしを支える科学技術
1 衣食住と科学技術
 衣は裸→毛皮→絹→綿、麻→人工繊維
 食住は狩猟(移動生活)→農業•畜産(定住生活)
2 輸送•通信と科学技術

第3時第98時
第3章 大切なエネルギー資源
1 私たちのくらしとエネルギー
2 電気エネルギーのつくり方
3 エネルギー利用の課題
4 放射線
 放射線の種類、単位
5 再生可能エネルギー
終章 これからのくらしを考えよう
 持続可能な社会=核廃棄物を作らない

関連ページ
自然がもたらす災害と恩恵3年(2004年)
エネルギー資源3年(2004年)
科学技術と人間3年(2004年)

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