このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第3時
実習3 速さについて復習しよう

     2018 4 20(金)、25(水)
     普通教室

はじめに
 今日は小学校で学習した速さの復習をします。ほとんどの生徒は、速さ=距離÷時間であることを知っており、簡単な計算問題の答えを出すことができます。授業では、子どもたちの興味関心を引き出すために身近な問題を設定します。

 速さの単位は、長さ(距離)と時間の組合せによってたくさんできます。組合せ方は測定するものよって、最適なものを選択できることに気づかせます。これは理科的センスの問題ですが、センスを磨くことはとても重要です。これは、どれだけの時間にどれけ動くか、という実験計画をする力、予測する力、そして、結果をわかりやすく処理する力になっていきます。単位変換は、よりわかりわかりやすく結果をまとめるために行うものであることに気づいてくれれば、今日の授業は高いレベルで成功したといえるでしょう。


上:速さに公式に関する板書
 割り算の記号の意味、速さの単位の読み方について確認しています。

※ 理科室を他学年と共同して使っていることから、一部のクラスでカリキュラムを入れ替えました。


本時の目標
・速さの計算が確実にできるようにする
・速さの単位は、長さと時間の単位の組み合わせからできることを理解する
・速さの単位変換をらくらくできるようにする

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 問題集
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)

  小学校で学習した距離について、いろいろな角度から復習することを紹介します。

(2) 体育大会で1500m走を走る友だちの速さ (5分〜10分)
 「それでは、さっそくいろいろな速さを求めてみましょう。第1問、もうすぐ体育大会がありますが、君たちのクラス代表として1500mを走る人の速さを求めてみましょう。このクラスで1500mを走る人は誰ですか? おっ、A君ですか! 頑張ってくださいね。で、君は何分で走りますか? 何と、4分! 本当に走れるの? これは驚きの速さですが、では、この数字を使ってA君の速さを求めてください」
※ A君は「1500m- 4分」と答えましたが、クラスによって数値は変わってきます。


上:体育大会で1500m走を走る友だちの速さを求める問題、答え、計算方法の板書

分速を秒速に変換する
 「(前略)ということで、速さは375m/分になりました。この速さは分速ですが、秒速にするとどうなるでしょう? 計算してください。・・・計算方法は、375mは60秒で走った距離だから、1秒なら60で割れば、1秒あたりの距離が求められます。375を60で割ってください。では、できた人は挙手してください。10人挙手したら、答えを確認します。(ばらばらと手を挙げる生徒がいるので、小さな声で数えながら・・・)それでは10人できたようなので、一番はじめに手を挙げたCさん、答えをお願いします。・・・その通り、6.25m/秒になります」

(3)速さと距離から時間を求める (2分〜5分)
 「この速さで50m 走ると、何秒かかるでしょう? 計算してください。計算方法はわかりますか」



上:速さと距離から時間を求める板書

速さの公式について確認
 ここで速さの公式について確認します。ポイントは以下の2つです。

  1. 割り算の記号の意味
  2. 速さの単位の読み方
  3. 斜めの線は、パー、毎(まい)、割る、などと読む

    上:速さに公式に関する板書

(4)各自の50m走の速さを求める(3分〜5分)
 「次に、あなたの50m走の速さを求めてみましょう。そのためには、あなたの50m走の記録が必要です。何秒か覚えていますか? 速さは距離÷時間、なので、50をあなたの記録、あなたの時間で割れば求められます。では、計算してください。できた人は同じように挙手してください。」


上:50mを8.2秒で走るBさんの速さを求めるための板書

ポイント
 中学3年生でも割り算ができない子どもがクラスに何人かいると思うので、授業のどこかで上の板書のように丁寧に計算方法を確認すること。できない子どもはできないことを恥ずかしがり、隠していることが多い。しかし、可能なら、できない子どもを指名して、順に答えさせるようにする。うまくいくと、周りの友だちができない子どもを助けるようになる。ただし、失敗すると自尊心が傷ついたり、先生との信頼関係を大きく損ねることになるので、細心の注意を払うこと。

(5)いろいろな速さの単位 (5分)
 速さの単位は、距離と時間の単位を組み合わせることによってできます。
 「次に、速さの単位にはどのようなものがあるか調べてみましょう。今日、これまでに出てきた速さの単位は、(黒板に書きながら)m / 秒m / 分の2つですが、その他には、・・・、そうですね。m / 時km / 時、などがありますね。では、みなさん、自分のプリントに20個、速さの単位を書きなさい」


上:P組の板書


上:Q組の板書

(6)最適な単位を考える (5分〜8分)
 このページを読んでいらっしゃるみなさんに問題です。
  天気予報で「風速2mの風」といった場合、風速の正しい単位は何でしょう? ・・・答えは2m / 秒、秒速2m、大気が1秒ごとに2m 移動することを表します。木の葉が1秒で2m 飛ぶ様子を思い浮かべてください。
 もう1つ速さの単位について紹介します。自動車の速さが60km / 時のとき、それは車が1時間に60km進むことを示しています。高速道路を走っている時、目的地までの距離がわっていれば、何時に到着するか、およその時間がわかります。
  このように、速さの単位をつくる長さ(距離)と時間の単位の組み合わせは自由ですが、風なら秒速、車なら時速が便利で、イメージしやすくなります。以上は、このページの読者のみなさんのための文章でした。次から授業の様子です。

 「第4問はカタツムリの速さを調べます。さて、その前に、みなさんはカタツムリを知っていますか? 知っている人は手を挙げてください。・・・はい、ほぼ全員知っているようなので安心しました。雨の日になると元気になる生物で、でんでん虫、マイマイ、殻のあるナメクジ、エスカルゴなどと言われる生物です」

 「さて、このカタツムリが全速力で走った場合の速さはどれぐらいでしょう。予想してみてください。(目がキラッと輝いているCさんを見つけたら)Cさん、どれぐらいだと思いますか?」
 「1秒で5ミリぐらいだと思います」
 「いいセンをついていますね。悪くないと思います。悪くないけれど、カタツムリの速さを測定するのに1秒は簡単なようで難しいかもしれません。ストップウォッチで正確に1秒間、物差しで正確に5ミリm 測るのは、動きの遅いカタツムリにはかえって難しいと思います
。と先生がヒントを出してしまいましたが、その他に、カタツムリの速さを予想してくれる人はいませんか? ・・・問題は、数字ではなく、どのような単位を使うか、です。カタツムリの速さを測定しやすい時間と長さの組み合わせを考えて欲しい、イメージして欲しいのです。(目がキラッと輝いているDさんを見つけたら)Dさん、どれぐらいだと思いますか?」
 「分速20cm」
 「ほほう、いいセンをついてきましたね。1分間なら、カタツムリの動いた距離を測りやすくなりそうですね。先生も賛成します。では、1時間測定した方が良いという人はどれぐらいいるでしょうか? 時速で測定した方が良いという人は手を挙げてください。・・・なるほど、2人ですか。1時間でも悪くありませんが、カタツムリさんが1時間全速力で動き続けるのは大変で、途中で止まってしまうかもしれないので、やっぱり1分前後がいいと思いますよ。1分でければ、2分間測定して、その距離を半分にして分速◯◯ cm とするものおしゃれな方法ですね


上:カタツムリの速さを表す単位に関する板書


上:P組の板書
P組では代表生徒3人に意見に出してもらい、その意見に同意する生徒数を数えた


上:Q組の板書
Q組もP組と同じように、最適な測定時間についての意見を求め、その数を記した。
その後、『分』が最適であろうことを示した。

(7) チーターの速さ (3分〜5分)
 生物界最速の動物、チーターの速さを使って、単位変換の練習をします。カタツムリの分速と比較したり、次の人類最速の速さと比較するために秒速にしたりします。


上:チーターの速さをまとめた板書

(8) 人類最速、ボルトの速さ (3分〜5分)
 2018年現在、人類最速の記録保持者はボルトさんです。この記録は100m走のものですが、なぜ100mなのかという問題はさておき、とりあえず、100mを走る時間によって人類最速が決まるようです。


上:人類最速の速さをまとめた板書

(9) 本時の感想、考察 (5分)
 自分の50m走と1500m走(1000m走)の速さを比較したり、他の生物や物体の速さを比較させたりすると良いでしょう。単位変換することによって、さまざまなものを比較することができます。

===
資料:G組の板書2枚(上は授業前半、下は授業後半)


授業を終えて
 速さとは何か!
 一見難しいように感じますが、速さは距離や時間よりも簡単に説明できます。速さは『ある一定の時間に進んだ距離』です。

 また、A君とB君のどちらが速いか調べる場合、一番簡単な方法は、同時にスタートさせることです。途中経過もわかりますし、ゴールの結果もわかります。しかし、A君とB君が遠くに住んでいる場合はどうしたら良いでしょう。すでに亡くなってしまった過去の人と比べたい場合はどうしたら良いでしょう。そのような場合は、同じ距離を走るために使った時間を比較すれば良いことがわかります。初めて速さを考えた人は偉大ですね。

子どもに挙手させる方法について
 子どもに挙手させる場合、しっかり挙げさせる必要はありません。今回の授業実践のように、誰もができる簡単な計算が終わったかどうかという現状を把握するだけのものなら、周りの友だちが気づかないくらい小さく挙手させるだけで十分です。
 小さく手を挙げさせることで、普段は挙げない子どもが手を挙げることもあります。その時は、チャンスを逃さず指名すると良いでしょう。
参考ページ小さく手を挙げて若手教師のためのワンポイント・レッスン

関連ページ
理科で使う単位(単位を10の乗数倍する語)2004年度
これまでの復習問題1(速さの単位変換)2004年度
平均の速さと瞬間の速さ2004年度

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

第3章
ニュートンの運動の3法則
 速さを記録し、計算する p.49

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