このページは旅行記『パキスタン』PAKISTAN DEC.2003- JAN.2004 です |
私の日記
2004年1月1日(木) 快晴
終日:タキサラ(ガンダーラ仏教の中心地)散策==========
1 タキサラ博物館(Museum)
2 ジョーリアン(Jaulian)
3 モラモラデゥー(Mohra
Moradu)
4 シルカップ(Sirkap)
5 ダマラジャカストゥパ(Dharmarajika
Stupa)
タキサラ泊2
==================================
あけましておめでとうございます。
パキスタンには新年を祝う習慣がないから、誰も声を掛けてくれないので1人で呟くし
かない。食堂に降りてからは、昨日私の部屋を案内してくれた青年と握手したり、店に
入ってきた見知らぬ男性の誰もがアッサラーム・アレイコムと握手をしてくれるけれど
、、、
8.15 起床
8.30 シャワー
8.50 朝食
油の固まりのように形が整った頭髪を洗うのは、非常な快感だった。頑固に水を弾き、
表面を石鹸でこするしかない髪を冷や水で何度も洗い流す。3回めにしてようやく泡立
ち、洗い流す水が着色してきた。汚れが溶け始めたのだ。最後の仕上げに、日本から持
ってきたシャンプー・リンスで仕上げたときは(生きる喜び)を感じた。生きることは
綺麗で美しい。
朝食を頼んだのにミルク・チャイしか出てこない。トーストと目玉焼きを追加注文。
(上:パキスタンに来て、始めてのトーストだった)
9.00
予定時間になった。すぐにタキサラの仏教遺跡散策に出発できるけれど、もう少し、食堂
のストーブに当たりながら日記の整理をしたい。
注意: タキサラのアクセントは冒頭の『タ』。間違えると通じない。また、タキシラと
いう発音はぜんぜん違う。
|
さて、下の地図を見てみよう。
(上: 博物館にあった本から転写)
これからのスケジュールであるが、1番遠い場所からだんだん近いところへ攻める基本に
従い、次のような順で回ることにした。初めのポイント『ジョーリアン』までは素早くリ
クシャーで移動。その後は、当時の雰囲気を感じるために徒歩&ヒッチハイク。
1 ジョーリアン(Jaulian)
2 モラモラデゥー(Mohra Moradu)
3 シルカップ(Sirkap)
4 ダマラジャカストゥパ(Dharmarajika Stupa)
5 博物館(Museum)
博物館に展示されているジオラマを見ると、仏教遺跡は小高い山に点在しているので道を
間違えないように、歩きたい。また、現在の河川の水路は当時から変わっているので、ガ
ンダーラが栄えた頃の河川の流れを感じながら散策したい。
(上:デジカメで撮影しておけば、散策途中に確認できる)
さあ、出発だ!
遺跡『ジョーリアン』までは7キロなので、リクシャーを利用したい。言い値は15
0ルピー。観光客料金は払いたくないので、がんばって交渉したけれど60ルピーか
ら下がる気配がない。我ながらケチケチ旅行者だと思うけれど、すたこら歩き始めた。
できるだけ地元民に近い旅がしたい。ホテルに戻って自転車を借りる方法も考えたが、
山道では重荷になるだろう。道行く人と会話しながら、点在する店を覗きながら歩こ
う。
(上:写真を撮ってくれとせがんだのに、カメラを向けると恥じらった)
「ジョーリアンに行きたいなら、ピックアップバスに乗れ。3、4ルピーだよ。」
通りがかりの男が教えてくれた。後ろから来たバスを止め、荷台に掴まった。車掌
らしき若者に5ルピー払ったけれど気分爽快。左手で荷台をしっかり掴み、右手で
眼鏡と帽子が吹き飛ばされないように注意しながらガイドブックの地図を読んだ。
晴れ晴れと写真を撮っていたら、私の前の男が黄色い砂糖の固まりをくれた。一口
食べたら、本当に砂糖だった。「当たり前か!」 これはお守りかも知れない。山
中で迷ってときの非常食にもなるので、大切にしまっておこう。
(上:ピックアップバスで『ジョーリアンの仏教遺跡』へ向かう)
|
爽やかな風と美しい自然に囲まれたジョーリアンの仏教遺跡で、心はいっぱいになったけれど、腹は減った。駐車場に行けば食堂の1つでもあるだろうと思っていたが、ガスコンロ1つだけの喫茶店しかない。チキンカレーとチャパティーを楽しみたいが、ない。12.00 昼食
ジャンキーなチップスとコーラでお腹を満たす。どの商品も5ルピーずつ割増したツーリスト料金だったけれど、知らない振りをして購入した。店の主人と話し込み、次の遺跡『モラモラデゥー』への行き方を教わった。メイン道路を歩くのではなく、新しくできた運河に沿って歩けば良いらしい。ここからは見えないが、小さな山の向うにあるらしい。
(上:携帯用のビスケットとマンゴジュースは、通常料金で購入。)
(コーラ15ルピー、チップス25ルピー、ビスケット10〜15ルピー)
(上:民家の前には、立派な羊小屋があった)
運河沿いに生活する子供達は、私の姿を見つけると、付かず離れず10メートルほど間隔
を開けて付いてきた。タクシーや馬車で移動する観光客がほとんどだから、抜け道?を歩
く黄色人は余程珍しいのだろう。カメラを向けると一目散で逃げ帰るが、いつまでもいつ
までも付いてきた。
|
お帰りなさいませ。
モラモラデゥー遺跡を後にして、これからシルカップ遺跡に移動する。幹線道路まで歩き、
ピップアップトラックを拾う予定。
(上:蜜柑の果樹園を経営している民家)
幹線道路までの小道には、収穫が終わって荒れた感じの畑が点在している。そんな殺風景な
中にあって、紅葉した落葉樹は休憩をかねた撮影に十分だった。シャッターを押していると、
民家の子供が出て来て、父親が出て来て、満足に会話もできないのに「チャイを飲んでいけ。」
と勧められた。イスラムの教えに従って御馳走になりたいところであるが、限られた時間な
ので断った。ご免なさい。これまでにも、何回もチャイを勧めれたけれど、今回は時間のな
い旅をしている。
5分も経たないうちにピップアップトラックが来たので、荷台に飛び乗った。
続きをどうぞ! シルカップ遺跡
シルカップ遺跡の見学を終え、次のダマラジャカ遺跡まで歩いていけることも分かったし、
その途中に小さな遺跡もあることが分かった。とにかく急いで、迷子になっても太陽がある
うちに走って戻れるメドが立たないと怖い。急ごう。目前にある小山を登り、その頂きにあ
る遺跡を見学しよう。山に登れば、最終目的地ダマラジャカも見渡せると思う。
(上:クナラ遺跡が位置する山の中腹から、シルカップ遺跡を望む。)
クナラ遺跡で最初に見たものは、車座になった10数人の女、子どもだった。「何をして
いるのだろう。小学校の先生が屋外授業をしているのか、それとも、近所の主婦達がピク
ニックに来たのか。」 近づいて声をかけたいけれど、私を怖がり逃げ去ることになって
は可哀相なので、まずは、クナラ遺跡を見学する。
(上:クナラ遺跡。一面に雑草が生えているが、タキサラを一望できるロケーションは気持ち良い)
じっくり見学し、歩き回り、写真を撮り、相手に私を十分観察させてから、車座になって
いる彼女達に近づいた。男性が1人いた。彼に声を掛ければ良い。「こんにちは、ダマラ
ジャカ遺跡はどこですか?」
返って来た返事は、満面の笑みと両手一杯のピーナツだった。英語は話せないらしい。私
は感謝してピーナツを受取り、日本人観光客であることを告げ、分からなくとも自己紹介
し、一緒にピーナツを食べた。日本人であることだけは分かったようだ。現地語で話しか
けらたけれど、返事は美味しそうにピーナツを食べるだけ。それでも、互いに良い思い出
の1ページができたことは間違いない。
しばらくして、私はお暇を告げた。これから、もう1つの小山を越えて最終目的地へ向か
う。ここから最後の遺跡が見えれば心配ないけれど、見えない。太陽はあと20分で地平
線に沈む。
(上:道なき斜面を歩き始めると、彼は心配して私を見送った。)
デジタルズーム20倍
何度も手を振っていたのは、道を間違えたからだろう。
道が消えた。すぐに崩れ落ちる小石の斜面を無理矢理登る。かくなる上は、反対側が見
渡せる頂きまで登るしかない。
(上:人を見つけて一安心。)
人が歩ける道があるということは、その道を歩いて宿に帰れるということだ。街路灯は
ないけれど・・・いやいや、それより、この空気を感じよう。たくさん呼吸しよう。2
000年前、ここに人々(僧侶)が集まり、幸せな生き方について話し合った。悠久の
大河は、ちょっと違う場所に移動して流れているけれど感じる。ガンダーラに集まり、
平和で幸福な人間の生き方を模索しあった古の人々を感じる。それがガンダーラ。仏教
の起源なのだ。
(上:クリックすると拡大します。388k)
|
おかえりなさいませ。これで本日の遺跡見学は終了です。ピップアップバスを拾い、博
物館正面にある宿に戻りましょう。
博物館方面に向かって歩く。路面のアスファルトが真っ黒なので、最近できたばかりだ
ろう。現場監督ように切れ味を感じる男性がいたので声を掛けた。博物館までの道を丁
寧に教えてくれた。途中からピックアップバスに乗った。
見慣れた道までくると安心し、屋台で食事をしたくなった。バスを降り、気になる道筋
を走るトラックに駆け寄り、荷台に掴まった。しかし、これが小さな失敗の始まりで、
私が飛び乗ったトラックは、心優しい無料トラックなので、停車して欲しいところは走
り去り、さらに街路灯のない暗い道を数キロ走り、昨日、タキシラに来た時の幹線道路
でようやく止まった。止まったというより、一旦停止したので飛び下り、運転手に礼を
言って、途方にくれた。もう一度、博物館に戻るしかない。
距離的には大したことないけれど、知らない道は怖い。緩やかにカーブしていると大変
なことになる。リキシャーを拾いたいが、家路を急ぐ人で満員々々。アクセル全開で幹
線道路を激走している。あきらめた私は、今来た道を歩いて戻ることにした。
途中、後ろから走って来た自家用車をヒッチした。パキスタンで初めてのヒッチだった。
満足な会話はできなかったけれど、運転手の彼は農園を経営しているらしい。彼は自分
の自宅前を通り過ぎ、私を博物館まで送ってくれた。私は厚く礼を言った。
今度は間違えないように公共ピックアップトラックに乗り、3ルピーを払い、先程発見
した屋台が数軒集まっている場所で降りた。
(上:レストランの少年) |
(上:チキン?カレーと焼立てのチャパティー) |
今日はたくさん歩いたのでもう少し食べたい。
(上:焼き鳥屋でニワトリを食べる)
(上:太ももを選びました)
昼からの売れ残りじゃないかしらと思われるほど大量のスパイスが掛けられていて辛いの
何の。唇をひりひりさせていたら隣の客がフライドポテトをくれた。これまた同じように
辛くて辛くて・・・夜中に起きて・・・でした。
(上:仕立て屋のお兄さんに撮影を頼まれて。)
◎ 今日1日を振り返って
1番満足したのは、最後の遺跡を訪ねる途中、間違えて小さな山を登ったこと。ガンダーラ仏教
が、いかに気持ちの良いところで発展したかが分かった。
話は飛ぶが、自分の実家の新築計画には『学習院』のようなものを取り入れたい。モノストリー、
学校、みんなで集まって何かをするところ、何かでは曖昧だから、もっと明確な目的を作らなけ
ればならないけれど、、、そのうち、寝食を共にする共同生活学習を目指すようになるのだろう
か。楽しみだ。その次は、寄付、寄進によって、その目的を拡大していく。しかし、その中心に
あるのは1人の人物で、その人物が死んでしまったらもうお終いだ。異なった形で継承れるが、
・・・発展と呼んでも良いのか? 私には分からない。
人が集まることに興味がある。集まる環境に興味がある。集まる目的は、私を中心にして絵を描
いたり写真を撮ったり旅行すること。何かを作ること。製作すること。作るものは何でも良い気
がしてきた。そのためにはスペース(環境)が大切だ。精神の中心になるもの。寝泊まりすると
ころ、食事するところ、勉強するところ、風呂に入るところ、外敵から身を守る城壁の外には、
畑と民衆。水、綺麗な空気。車はいらない。人が移動するのは是か非か。
夕食は調子に乗って食べ過ぎました。すみません。新年早々、上からゲボしようかと真剣に考え
たけれど、やめました。日記を書いていたら忘れてきたので、食当たりではなく、単なる食べ過
ぎでありますように、アーメン。インシャアラー。南無阿弥陀仏。
|