このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第85時
観察13 化 石

     2013 3 5(火) 
     理科室

はじめに
 理科室や準備室に眠っている化石はありませんか。古いもの、壊れているもの、何かわからないものが出てきたら、それら全てを陳列してください。生徒はたくさんことを感じ、学ぶことでしょう。化石の発掘は、先生と生徒の共同作業です。難しい内容を指導する必要はないので、石になった過去の生物を鑑賞し、楽しむことが大切です。

他年度の実践
観察2 示準化石と地質時代 1年(2002年)
観察1 地層の中の化石(導入) 1年(2002年)
資料: 顕微鏡で石灰岩をみる
資料: 地質年代


上:教卓に置かれた化石を観察する生徒達


本時の目標
 化石は『昔の生物が生きていたことを示す石』であることを確認する
 化石のでき方をまとめる
 示相化石と示準化石をまとめる
 地質年代を確認する
 いろいろな化石を観察・スケッチする
 フズリナや放散虫など微少化石を顕微鏡観察する

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 色鉛筆
  • いろいろな化石

    上:A君が持参した新生代の魚の化石
  • 本日の学習プリント、1/人)
  • 検印、スタンプ
  • いろいろな化石標本
  • 光学顕微鏡
  • 石灰岩プレパラート
  • 化石を含む岩石プレパラート
  • 光源装置

授業の流れ
(0) 始業前の化石観察
 事前に、いろいろな化石標本を教師用実験台や空いている実験台に出しておきます。理科室へ来た生徒に自由に観察させます。ただし、壊れやすいものがあるので、取り使いには十分に注意させます。また、自宅から化石を持参した生徒がいないか確認もしましょう。

(1) 本時の授業内容と化石の紹介 (5分)
 事前に準備しておいた化石標本を、ごく簡単に紹介します。授業は、前半25分で化石に関することをまとめ、後半25分で実物観察をします。同時に、顕微鏡で石灰岩プレパラートに含まれるフズリナ(紡錘虫)、放散虫、サンゴも観察します。

本校の理科室にある3つの化石標本箱


上:クリックすると裏蓋


上:クリックすると裏蓋


上:クリックすると裏蓋

(2) 化石とは何か  (10分)
 化石は、昔の生物が生きていたことを示す石です。化石は(1)骨や牙など生物そのものが石化したもの、(2)足跡や巣穴など生物の痕跡が石化したものに分類できます。これとは別に、示相化石と示準化石に分類することもできますが、これは『化石のでき方』をまとめた後に学習します。


上:化石とその例を同時に指導したクラスの板書


上:化石と化石の例を別々に指導したクラスの板書

生きた化石『シーラカンス』
 あるクラスで、シーラカンスを挙げる生徒がいました。シーラカンスは古生代デボン紀に繁栄しましたが、現在も同じような姿で生きています。ただし、古生代のシーラカンスと現在シーラカンスは違います。シーラカンスはある1種類の生物(魚類)の名前ではなく、顎(あご)や肉質のウロコなど共通する特徴を持った魚類の仲間の名前です。

(3) 化石のでき方  (10分)
 化石は石です。長い年月をかけ、石のように固くなったものです。固くなる原因は、水中における化学変化です。初めの成分がゆっくり変質したり、違う鉱物に置き換わったりします。なお、石やガラスの主成分は二酸化ケイ素です。


上:化石のでき方をまとめた板書


上:C組での板書

(4) 示相化石と示準化石  (10分)
 いろいろな化石の中には、示相化石や示準化石といわれるものがあります。示相化石は環境、示準化石は時代を示します。フズリナやアンモナイトのように、両方の特徴をもっているものもあります。示準化石によって示される地質年代については、別ページ『地質年代』をご覧ください。


上:示相化石と示準化石に分類した板書


上:同上


上:C組の板書(クリックすると拡大)

(5) 化石の観察  (25分)
 ここから授業後半、化石の観察実習になります。生徒は、思い思いの化石を手に取り、観察・スケッチを行いました。ただし、時間が限られているので、(6)のフズリナや放散虫など微少化石の顕微鏡実習から入っても構いません。


上:アンモナイトの化石とそのスケッチ

(6) 石灰岩に含まれるフズリナの顕微鏡観察  (10分)
 フズリナは紡錘虫といわれることもありますが、授業では指導しませんでした。顕微鏡写真は別ページ『顕微鏡で石灰岩をみる』をご覧ください。

フズリナについて

 単細胞生物(有孔虫)
 その殻(炭酸カルシウム)は、現在の石灰岩の主成分
 古生代(石炭紀〜ペルム紀〜二畳紀)に繁栄、進化
 中生代になる前に絶滅
 進化系統がよく研究されている重要な示準化石
 進化は小から大へ(1mmから10cmへ)、単純から複雑へ
 最終的な形態は大きな紡錘形で、その形から紡錘虫という
 5科>100属>200種
 暖かい海であったことを示す示相化石でもある
10 大型有孔虫の仲間に貨幣石、星砂(現在も生きている)がある

上:小笠原の毋島御幸之浜にある貨幣石父島と毋島を巡る13日間の旅から

11 秋吉台の石灰岩も有名


上:石灰岩プレパラートにおけるフズリナの見え方を説明した板書
外形は『だ円』であるが、切断方向によって内部構造が違って見える


上:フズリナがたくさん見える石灰岩(画像をクリック)

→ 顕微鏡写真は別ページ『顕微鏡で石灰岩をみる


上:光学顕微鏡に載せたフズリナ石灰岩プレパラート
(最低倍率で観察すれば良い)


上:D君のフズリナのスケッチ


上:いろいろな化石を含む岩石プレパラート

.

上3枚:岩石プレパラートの含まれる化石を観察・スケッチする様子


上:Fさんの学習プリント


上:Gさんの学習プリント

.


上5枚:生徒5人の学習プリント


授業を終えて
 短い時間でしたが、楽しく観察できたようです。

 さて、卒業式が間近に迫り、特別時間割りで1時間授業をもらいました。全員そろっているなら一斉授業ですが、卒業式練習のため各クラス代表生徒が不在になっています。ということで、教科書以外のことを楽しむしかないので、次回は『校内の岩石採取』です。暖かい天気になることを祈りましょう!

関連ページ
観察1 地層の中の化石(導入) 1年(2002年)
観察2 示準化石と地質時代 1年(2002年)
資料: 顕微鏡で石灰岩をみる
資料: 地質年代

実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学
 第章 地 球   生物が顕われた顕生代   p.60 
 いろいろな化石の観察   p.61 

第84時 ←
観察12 堆積岩(地層をつくる岩石)

→ 第86時
実習14 校内の岩石採集

中学校理科の授業記録1年(2012年度)

↑ TOP

[→home
(C) 2013 Fukuchi Takahiro