このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第12時

観察12 ヒトの外呼吸と内呼吸

2017 5 11(木)、15(月)
普通教室

はじめに
 学習内容・指導方法については別ページ『観察12肺と2つの呼吸2年(2003年度)』『外呼吸と内呼吸2年(2000年度)』をご覧ください。

 このページは、一般の方にも理解できるような書き方をしてみました(実は、時間がないので長文になってしまたのです)。


上: A組での板書


本時の目標
・ヒトの2つの呼吸(外呼吸、内呼吸)をまとめる
・細胞質と組織液の間にある、細胞膜のはたらきを知らせる
・ヒトのからだにある水分についてまとめる
・血液成分をまとめる

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)ヒトの2つの呼吸---その@(外呼吸)(10分)
 外界とのガス交換(酸素と二酸化炭素)を外呼吸といいます。外呼吸は、胸式呼吸と腹式呼吸の2つに分けられます。胸式呼吸は肋骨を開くようにして行う呼吸で、体操で行う深呼吸です。腹式呼吸は、横隔膜を下げるようにして行う呼吸で、睡眠中に無意識に行っている呼吸です。


上:A組での板書

 いろいろな分野で「腹式呼吸」の重要性を説いていますが、実は、今のあなたは完璧な「腹式呼吸」をしています。人が無意識にしている呼吸は、横隔膜(おうかくまく)の上下動による「腹式呼吸」です。しかし、誰かに「腹式呼吸をしなさい!」と言われたり自分で意識したりすると、その途端に無駄な力が入り、横隔膜(筋肉)が硬直して動かなくなります。

 何も意識していない状態で、あなたの腹部を見てください。ふくれたり凹んだりしていることが分かるはずです。空気が入ればふくれ、空気が出れば凹みます。当たり前ですね。ただし、空気が入る場所は腹部ではなく、胸部です。胸部がふくらんだり凹んだりすることによって、それに接する腹部が連動して動きます。

 胸部と腹部は、横隔膜という筋肉で仕切られています。横隔膜より上を『胸部』といい、そこにはあるものは『肺』と『心臓』だけです。胸部は肋骨という硬い骨で守られらいます。横隔膜より下を『腹部』といい、そこにあるものはいわゆる『内臓』です。消化器官『胃・十二指腸・小腸・大腸・直腸』『肝臓』『すい臓』『じん臓』などです。これらを守る骨はなく、お腹はぼよんとしています(腹筋がある人は違いますが、、、)。

図:市販の横隔膜と肺の関係を説明する実験装置
観察12肺と2つの呼吸2年(2003年度)より転載)

(3)ヒトの2つの呼吸---そのA(内呼吸)(10分)
 内呼吸は、細胞内で行うものです。一般的な呼吸のイメージとまったく違うので、初めて聞いた人はすぐに理解できないでしょう。

 内呼吸は、あなたの全身にある40兆個の細胞ひとつひとつが個別に行っています。細胞がその内部で行う呼吸は、一般的な呼吸と同じように『酸素と二酸化炭素の交換』です。ただし、目的はそれだけではありません。その先にあります。酸素を使って養分を分解し、エネルギーを取り出すことです。酸素は必要ですが、二酸化炭素は分解後にできる不要物です。

 酸素を使って養分を分解することは、酸素で養分を燃やすことと同じです。空気中で燃やす場合と同じように酸素を使い、二酸化炭素を発生させます。

 養分は『有機物』といいますが、有機物は炭素を含む物質なので、炭素と酸素が結合して炭素と酸素の化合物である二酸化炭素ができるわけです。


上:A組での板書

 内呼吸を行う場所は、細胞内にある小器官『ミトコンドリア』です。ミトコンドリアは火力発電所のようなものです。その燃焼効率は極めて高く、(私は正確な数値を知りませんが)100%に近いものだと思います。

 酸素と二酸化炭素の交換は、細胞膜を通して行われます。細胞膜は、必要なものを取り入れ、不要なものを排出するはたらきがあります。これを選択的透過性を持っている、といいます。半透膜、ともいいます。これについては、別ページ『半透膜と消化酵素 2年(2000年度)』で少しだけ紹介しています。


上:B組での板書

 細胞内にある構造物は『細胞内小器官』といいます。細胞内小器官には、『核』や『ミドコンドリア(エネルギー発生装置)』や『リボソーム(タンパク質合成工場)』 などがあります。

 細胞内小器官でなない、細胞内の液体を『細胞質』といいます。その液体には、細胞が活動するために必要なすべての物質がとけています。主な物質として酸素、養分、アミノ酸、ビタミンなどがあります。

 細胞外も、細胞内と同じような液体があります。ヒトを構成する40兆個の細胞はすべて液体に浸されている、と考えることができます。私たちは海の中で生きているようなものです。この海のような液体、細胞をひたしている液体を『組織液』といいます。組織液は、血液中から染み出してきた液体成分です。

 細胞膜は必要なものを『組織液』から取り入れ、不要なものを『細胞質』から『組織液』へ排出するわけです。

(4)ヒトの体内にある水分 (10分)
 ヒトにとって、水はとても重要です。食物がなくても1か月ぐらい生きていられるそうですが、水の場合は3日ぐらいで死んでしまうそうです。

 体内の60〜70%が水であるとした場合、その水はどこに存在するのでしょう。血液は体重の1/6ぐらいだそうです。血液は血管によって運搬される液体ですが、同じように管によって運搬されるものにリンパ液があります。リンパ液は、リンパ管を通ります。リンパ液とは、前に紹介した『組織液』が回収されたものです。組織液はすべてリンパ管に回収されるわけではありませんが、リンパ管に入った組織液をリンパ液というわけです。余談ですが、血管はすべてつながっていますが、リンパ管はつながっていません。回収するための管なので、全身にある1つひとつの細胞からスタートしています。


上:B組での板書

 血液は液体成分と固形成分にわけることができます。それらの割合は、だいたい50%-50%です。液体成分は『血漿(けっしょう)』といいます。これが細胞たちの間に入ると、『組織液』という名前になります。これがリンパ管に回収されると、『リンパ液』という名前になります。
※血液については別ページ『血液成分 2年(2000年度)』もご覧ください。

 また、『血漿』が細胞の中に入ると『細胞質』という名前になる、と考えることもできますが、成分は若干違います。もちろん、『組織液』も『リンパ液』も成分構成や割合は、違います。


上:C組での板書

(6)本時の感想、考察 (5分)


上:B組での板書


授業を終えて
 お疲れ様です!

関連ページ
観察12 肺と2つの呼吸2年(2003年度)
外呼吸と内呼吸2年(2000年度)
半透膜
観察14 血管と血液2年(2003年度)
半透膜と消化酵素2年(2000年度)
血液成分
血液成分2年(2000年度)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学

第1章 生命とは何か  生きている細胞膜 p.10
第2章
細胞の構造とはたらき
 動物細胞と植物細胞の比較 p.24
 エネルギーをつくるミトコンドリア p.36
 栄養分を燃焼(呼吸)させよう p.36-p.37
 2つの呼吸 p.41
 いろいろな動物の外呼吸 p.42-p.43

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