このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。 |
第3章 理科の授業
10 実習後の片付け1 片付けは、実習の一部分
自分が使った器具を元の状態にして戻すことは人のマナーですが、理科の実習ではそれ以上の意味があります。片付けは、準備とともに実習(観察、実験、観測)の一部分であるだけでなく、良い結果を出すための考え方や技術そのものです。順序立て、効率よく片付けたり、器具に付着した物質の粒子(汚れ)をイメージしながら洗浄することは、とても科学的な行為です。片付けは誰でも簡単にできるものではありません。2 良い結果は、片付いた机上から生まれる
良い結果を出す班の実験台を見ると、その上が奇麗に片付いています。机上には不要なものがなく、必要なものが整頓されていることに気づくでしょう。先生は、実験操作の指示と同じように、的確な片付けの指示を出して下さい。これができない先生は、まず、自分の机や引き出しの中の整理整頓をしましょう。細々としたものの片付けは膨大な時間を消費しますが、それは必要な時間です。奇麗に片付いたら、そこで仕事のする効率の良さだけでなく、仕事しながら片付けることで、より良い結果(成果)を追求できることを体感して下さい。いつも机上が乱れている先生はこれを何年も続け、美しい日常生活から科学的データを生み出す方法を会得して下さい。
(上:実習後の教師用実験台に並んだ器具。私の実践記録『実験3 化学電池(3年)2004年』から)3 生ゴミが出る実習
生ゴミが出る実習の場合(下表参照)は、ゴミ袋やバットを持って机間巡視します。それに先生自身が生ゴミを回収しながら、その他の片付けや実習の指示をします。教師自ら清掃する姿を示し、確実に片付けられるように細かい指示を出します。生ゴミが床に落ちたり水回りに落ちたりする前に、正しい方法を示しましょう。同じような机間巡視は、砂糖を使った実習でも行います。
生ゴミがでる実習の例
生ゴミ 私の授業実践例 食料品 実験1 いろいろなものを熱する(1年)2002年 砂糖※床にこぼれると大変 実験12 べっこう飴(2年)2003年 植 物 実習1 名南中・野草図鑑1年(2002年) 果物、種子 実習3 果実・種子・胚1年(2002年) イカの内臓 イカの解剖(消化器官)2年(2000年) 食料品についた菌類 かび(菌類)の観察3年(2001年) 微生物がいる土 実験1 土の中の生物の呼吸3年(2001年) 4 生ゴミ、割れガラス、可燃ゴミと不燃ゴミ
上記のゴミは、生徒に分別させて捨てさせます。生ゴミと割れガラスは以下の方法で良いと思いますが、不燃ゴミと可燃ゴミの分別は、各自治体の方法にしたがって下さい。
生ゴミ 教師用実験台の上に生ゴミ専用のバットを用意します。生徒が間違えて不燃ゴミを入れた場合も、すぐに分かるので便利です。このようにして集めて生ゴミは、校庭の適当な場所に埋め、自然に還します。ごく少量の場合は、ゴミ箱の近くに生ゴミ専用ビニール袋(普通のレジ袋)をセロハンテープで留めておく方法もありますが、それは環境に良い方法とは言えません。
割れガラス 試験管やビーカーなどのガラス器具が割れた場合は、必ず先生に報告させます。そして、怪我の有無の確認、現場検証をした後、生徒にすべて片付けさせます。とても小さな破片がある場合でも同じです。そして、掃除が終わったら、先生が確認します。割れガラスは、専用のバケツか専用の紙箱(試験管の空き箱を利用することが多い)に入れさせ、一杯になったらガムテープで密封し、『割れガラス:危険!』と数カ所に表書きしてゴミ置き場に置きます。可燃ゴミと不燃ゴミ あまり神経質にならず分別し、それぞれのゴミ箱に捨てさせます。5 片付けの時間として5〜7分確保する
最後にまとめて片付ける場合は、5〜7分の時間を確保して下さい。何事にも余裕が必要です。時間が余るようなら、実習のまとめをしても良いですし、自由な考察の時間にしましょう。発見の多い実習の後は、2〜3分の時間を水を打ったように静かに生徒は考察するものです。繰り返しますが、基本は、実習中に使い終わったものから順に、片付けさせることです。6 授業中に先生が行うこと
(ア)教師用実験台に不要なもの載せない
(イ)準備させる時、器具は『専用の箱』に入れた状態で出す
(ウ)器具を持って来た生徒に対して、きちんと並べるように指示する
※早く片付けが終った生徒に点検させることもある7 濡れたビーカー、試験管
洗浄させたビーカーは、濡れたまま専用棚へ返却させます。この棚は水を切ってなくても良いタイプのものです。もちろん、乾いた布で水分を拭き取らせるのが理想ですが、通常は自然乾燥で十分です。生徒の実態をよく見て、その背丈に似合った片付け(実習)をすれば良いのです。先生が頑張りすぎると、生徒は引いてしまいます。常に厳密さを求めるのではなく、状況に応じて対応する柔軟さが必要です。8 授業中の片付けはどこまで?
使ったものを片付けるのは生徒の実習の一部ですが、最終的な点検と確認は先生の仕事です。ところで、この2つの仕事の間に次に2つのステップを取れて入ましょう。時間の節約だけでなく、係意識の向上にもあります。
(1)授業時間内に、各班で片付けさせる
(2)その後の放課時間内に、理科係に点検、整備させる
(3)その日の理科室の掃除当番に、清掃させる
(4)最終的に、先生が点検・確認する
確認ですが、上記4つのうち、最も重要なのは(1)の授業時間内の片付けです。2009年3月18日
↑ TOP [Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン][home] (C) 2009 Fukuchi Takahiro