このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第5章 笑顔の生活指導

10 くどい話からさっぱりした話へ

1 くどい話は反抗的態度を生む
 清らかな心を持った子どもは、くどい話をしません。くどい話が嘘であることを知っているからです。的を得た真実は、1回で必要十分です。何回も同じ言葉をくり返すことは、真実を失うだけでなく、ありのままの現実を汚してしまうことを直感的に知っているからです。清らかな心を汚されたくない子どもは、くどい話に対して反抗的な態度をとります。

2 理解できれば、さっぱりする
 同じ話のくり返しは、話をしている本人が要点を理解してない場合に起こります。話の内容と相手を理解してれば、事は1回で十分です。子どもの実態を知らず、真相を知らない先生は何度もくり返します。何度もくり返すうちに、「相手が理解できた」と錯覚しますが、話す前も後ろも分かっていないのは、くどい話をした本人です。反復で理解できる内容なら、まず、先生自身の中で反復練習、理解、さっぱりしてから話をするべきです。

3 普段の行動がものを言う
 生徒が話を聞かない、と感じるのは、普段のあなたの行いが悪いからでしょう。生徒が学習した結果です。すでに聞く耳を持っていないのですから、同じ話を100回しても無駄です。悪循環を断ち切るためにに、自分が何を話しているのか聞いてみましょう。生徒の話を聞いてみましょう。そして、過去の自分自身を振り返ってみましょう。地道な努力を続け、毎日の行動がものを言うようになれば、話は1回で十分。何も言わなくても通じるようになることだってあります。生徒と先生はそれだけの時間を一緒に過ごしているはずです。

4 さっぱりした話をするためのポイント

1) 事前に計画する時間があるとき
 ポイントは2つです。1つは話の内容を吟味すること、もう1つは生徒の現状をよく観ることです。生徒は日々成長しています。この2つができれば、話はさっぱりします。毎日の授業も同じです。

2) 膨らむ可能性をもった1つ、を選ぶ
 100の知識があっても、話して良いのは1つだけです。生徒に合わせて1つ話せば、生徒はそこから10を理解します。子どもを見くびってはいけません。くどい話をすれば、あなたが1つも理解してないことやあなたの知識や人間性の乏しさを理解するでしょう。人は、1つの話から10理解できる特性を持っています。育ててください。

3) 緊急に話をしなければいけないとき
 話をしながら生徒の様子を観察します。そして、生徒の反応に合わせ、話の切り口を柔軟に変えていきます。不変なのは、あなたが話をする目的です。目的とゴールが決まっていれば、その過程は変わっても大丈夫です。とくに緊急の場合は、臨機応変に対応することが大切です。

4) 緊急性の高い悪質な事件の場合
 例えば、休息時間に教室で嫌がる友達から奪って投げた筆箱が窓ガラスに当って割れた破片で廊下にいた隣のクラスの友達が怪我をしたのにも関わらず無視してトイレに行ったA君、の場合を考えてみましょう。A君に対して、たくさんの話をしたくなると思います。しかし、現実には何を話しても無駄です。必要なことは、先生が話をすることではなくて、生徒の話を聞くことです。先生は黙って話を聞いてください。続きは、第7章『悩んでいる生徒』をご覧ください。『悩みの相談、援助』『基本姿勢:黙って聞く』『基本姿勢:君の気持ちはわからない』『相談室での座り方』『重くて深い相談をされた時』『泣いている生徒を見かけたら』『1人でいることが好きな生徒』『生徒が話しかけてきた目的』『優等生からの相談、友達を助けて!』などがあります。

5 言葉はくり返すと現実から離れ、上の空へと消える

2008年
2012年6月6日

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