このページは『Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

21 自由研究のテーマは授業から

 ─授業の延長線上においてみよう─

 夏休みなど長期休業の前になると、理科や社会科から自由研究の宿題が出されます。しかし、生徒の立場からすると、そのテーマ選びは頭が痛い問題です。中身であるはずの研究よりも、テーマをきめる方が難しい問題です。インターネットや書店や図書館で調べるなら良いですが、大人の手が入ることもあるようです。

 自由研究に限らず、先生は、子ども課題を与える場合、子どもの実態に適したものを与えましょう。研究そのもの丸投げはいけません。先生の仕事を子どもにさせてはいけません。

 私は、いくつかのテーマを提案し、その中から選択させるようにします。そのテーマは、通常の授業で学習した内容の延長線上にあるものです。授業時間は限られているので、十分にできなかった観察や実験、長期間の観測が必要な実習を与えます。この他にも、たくさんの資料(インターネット、書籍)を調べて報告書(レポート)としてまとめるのも悪くありません。簡単なテーマであっても、方法を変えることで無限の発見ができます。難しいことを探す必要はありません。当たり前のことで良いのです。

自由研究のテーマ例

学年 テーマの例
1年 (1)私の植物標本
 ・参考ページ『実習1名南中・野草図鑑2002年』『観察1校舎内の野草1999年
 ・自宅の周りを散策しながら、家族と一緒に採取すると楽しくなります。
 ・家族旅行などで遠くに出かける時は、その場所の標本を作ると良いでしょう。
 ・高山植物など採集できない場合は、写真でも構いません。

(2)台所にある物質を燃やしてみよう
 ・参考ページ『実験1いろいろなものを熱する2002年
 ・アルミホイルをスプーンに捲いて、加熱してみましょう。
 ・ただし、危険なこともあるので、大人と一緒に実験して下さい。

(3)地震のしくみと被害
 ・『実習1地震波の伝わり方2002年
 ・新聞やインターネットなどを使い、できるだけたくさんの資料を集め、自分でまとめ直す。

(4)浮沈子をつくろう
2年 (1)魚介類の解剖
 ・参考ページ『観察3イカの消化器官2000年
 ・家庭の料理に使う魚介類を使って、その体のしくみを調べます。
 ・食物を大切にし、生命を尊重する態度も大きく育ちます。

(2)モーターを作ろう『モーターを作ろう2001年
(3)雲の観察
 ・参考ページ『観察1 雲2001年
 ・典型的な雲を探し、デジタルカメラで撮影して分類しましょう。
 ・空、水蒸気、水、空気に対する見方が変わります。

(4)美味しいカルメ焼き、お菓子の化学成分
 ・参考ページ『実験9アメ・カルメ焼き2002年
 ・小麦粉やベーキングパウダーの量を正確に測り、温度、時間を変化させます。
3年 (1)菌類、細菌類の観察
 ・参考ページ『かび(菌類)の観察2001年
 ・危険な菌類、細菌類が発生する場合があるので、お勧めできません。
 ・1ヶ月ぐらい連続して観測すると、生物間の争いが分かります。

(2)天体に関する研究レポート
 ・参考ページ『自由研究レポート2004年
 ・太陽や太陽系、恒星や星座、宇宙など、自由なテーマで調べて下さい。

 また、授業中、「困ったときは自由研究!」と決めています。授業時間が足りないときだけでなく、内容が難しすぎて授業では扱えない場合に「自由研究」とします。例えば、A君が鋭い質問をしてきたら、次のよう答えましょう。「A君! いいところに気づきましたね。その質問は中学生では最高レべルです。是非、調べてきて皆に発表して下さい。A君の他にもできるという人は、調べてきて下さい。レポート用紙は、授業の最後に差し上げます」

 提出されたレポートは、内容に応じて授業で紹介したり廊下に掲示したりします。


上:廊下に掲示された友達の自由研究レポートを熱心に読む生徒たち(自由研究レポート2004年から)

 自由研究レポートの形式、提出(発表)方法などは事前に教えておきます。


上:先生が、簡単なレポートの例を示すと良いでしょう

レポートに記述する主な項目
(1)テーマ(子どもらしい面白いキャッチフレーズが楽しいです)
(2)クラス、氏名
(3)調べて分かったこと
(4)自分で撮った写真、スケッチなど
(5)調べるために使った資料(インターネット、本、新聞、表、グラフ)
(6)どうしても分からないこと(新しくできた疑問)
(7)感 想
(8)提出した日
(9)先生からのひと言欄

2008年1月7日

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