このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第2章 How to 授業

38 何年か前のことを復習する

 どうしても上手く教えられないときは、昔の復習をしましょう。復習といっても、数週間前に覚えたことではなく、小学校、あるいは、何年か前に学習したことです。大前提になるはずの、いわゆる常識ができていないことがあります。それを全員で確認することで、新しい内容が自然に理解できることがあります。「そこまでしなくても」と思うところまで戻ってみましょう。友達の面白い考えを楽しんでいるうちに、自然に新しい知識が獲得できるはずです。

1 つまずいている原因を探す
 初めに、生徒がつまずいている原因を探します。それは目の前ではなく、過去にあります。ただし、つまずいたポイントを生徒自身が探すのは大変なので、先生が少しずつバックしていきます。数学なら、四捨五入、分数のやくぶん、簡単な割算など、いろいろつまずく点がありますが、それぞれの部分がはっきりと区別できるので簡単に発見できるでしょう。わかったら、そこから復習すれば良いのです。

2 大多数の生徒がつまずいているなら
 大多数の生徒が困っているなら、授業をそこから始めるだけの話です。とても簡単なことです。1度学習したことですから、比較的スムーズに進むでしょう。ポイントは、全員で確認したことを板書し、確実にまとめておくことです。生徒は素早く理解し、成長した自分に満足し、そのままの勢いで新しい内容にチャレンジすることになります。ただし、簡単なことを正確にまとめるのは、それだけの力が先生に要求されます。基礎に戻ることができない先生ほど、「君たち、そんなこともわからないの?」というものです。職員室で生徒を愚痴ような先生になってはいけません。しっかり勉強してください。

3 授業中、先生もわからなかったら
 もし、先生自身がわからないなら、「わからない」と正直に言いましょう。基礎基本ほど難しいものです。そして、先生に代わって説明できる生徒を募ってみましょう。何人かが挙手し、先生を助けてくれるはずです。意外な生徒が息を飲むほど的確な事例を出すこともあります。それが公立学校の楽しみです。是非、生徒全員が参加できる授業になるように努めてください。なお、私は知っていることでも「ごめん、知らないから誰か助けて!」と、と本気でとぼけます。生徒を動かすテクニックです。

4 ごく少数の生徒がつまずいているなら
 中学3年生になっても、割算ができない生徒はたくさんいます。一部の公立中学校では、20%以上そのような状況ですが、それでも一斉授業を行うのが教師の仕事です。教科書にある方法では不可能なので、さまざなな工夫をましょう。以下のページなどを参考に、ケースバイケースで対応してください。
15.五月蝿い生徒を活かす
16.小さく手を挙げて!
26.やる気を引き出す方法
28.失敗した原因はすぐ教える
30.生徒のつぶやきを拾う
31.間違い発言を活かす
32.「良い質問ですね」とほめ、考えさせる
34.授業内容のレベルを下げる
35.いろいろな授業形態
37.生徒が教壇で教える授業

5 専門分野の言葉は、その分野の中で説明できる
 「純物質って何?」と質問すれば、「純粋な物質」と返ってくるでしょう。では、純粋とは何か、物質とは何か! ・・・哲学、美学、社会学的に答えるのは、大変だと思いますが、自然科学の分野では、ある程度明確に説明できます。純物質は、「ある決まった性質をもつ最小の粒」、「それ以上小さくできない粒」、「単体と化合物を合わせたもの」などです。同じように、アンダンテや4/4拍子など音楽の言葉は、音楽の中で説明されます。

6 復習を中心にした授業の例
 『
純物質を水に溶かしたときの変化3つMr.Taka 中学校理科の授業記録3年(2011年度)

2011年11月3日公開

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