このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録:化学分野 です。

Taka先生のカリキュラム案

化学分野 単元5

電気分解・イオン・中和

 初めに、溶液についてまとめたページを御覧下さい。じっくり読み込むと溶液、イオン、酸と塩基(アルカリ)の関係が明確になります。さらに、子どもの発達段階に合わせて検討すると、中学校で酸と塩基の本質に迫ることは非常に難いことが分かります。

 さて、この単元は、次の順で構成されています。

1 電気分解(現象として捉える)
2 イオン
3 化学電池
(電気分解の逆、応用)
4 酸性とアルカリ性
5 中 和

 実験中心の授業ですが、目に見えないイオンをイメージさせるために教室でのモデル化も丁寧に指導して下さい。モデル化と実験を交互に繰り返すうちに、知識とイメージが一致し、知的な興奮を味わい始めます。これまでの化学変化とは違う感動を味わうはずです。

 そして、電気分解をした後には、その逆の反応、つまり、化学電池の実験を行います。そして、これらの理論的な背景として原子が電気を帯びたイオンになることを学習して中学生の化学を終えます。

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授業の展開例
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14時間完了

 

 展開例では14時間完了になっていますが、先生が興味をもたれた内容を中心にして数時間追加し、発展的な授業を展開することで、最終的に16〜20時間完了になると思います。また、カリキュラム案4で示した水溶液の項目を取り出し、適当な位置に挿入しても構いません。


第1時 水溶液に電流を流す(3年)2001年
 生徒に、「物質には電流を流すもの(電解質)と流さないものがあるけど、いろいろな物質を調べたいから、自宅から水に溶けるもの、あるいは、液体状のものを持ってきなさい。マヨネーズでも良い。」と指示する。

<準備>いろいろな溶液や水溶液(生徒)、電源装置、直流電流計、電極、ビーカー、食塩、
塩酸、塩化銅

1 演示実験
2 生徒実験
方法(1:色、2:BTB、3:リトマス紙、4:におい、5:手触り、6:水分を蒸発させる、7:金属(アルミニウム、銅)を入れる)
2 結果をまとめる
3 他の年度の実践例
 オリエンテーション(3年)2001年


第2時 塩化銅の電気分解(2年)2003年
 シャープの芯を使って1%以下の塩化銅水溶液を電気分解する。+極から塩素ガス、−極には銅が析出する大変面白い実験なので、必ず行って下さい。炭素棒を使うより、自分のシャー芯を使うと、より身近に感じます。

<準備>いろいろな溶液や水溶液(生徒)、電源装置、直流電流計、電極、ビーカー、食塩、
塩酸、塩化銅

1 演示実験
2 生徒実験
・ 塩素の脱色作用
・ 析出した銅の添付

3 結果のまとめ
・ 化学反応式に+極−極を記入

4 他の年度の実践例
 実験2 塩化銅の電気分解(3年)2001年
5 発展学習の実践例
 実験3 銅メッキ(3年)2001年


第3時 塩化銅の電気分解のしくみ(3年)2001年
 物理学で、マイナスの電気を持った粒(電子)を学習しているなら、ここでイオンについて紹介し、電子の受け渡しまで学習することが可能です。自然科学の知識の糸が、縦横に紡がれていくように感じられたら大成功です。理科室でなく、教室で行っても良いでしょう。

1 発展学習の実践例
 実験6 銅イオンの移動(3年)2001年



第4時 塩酸の電気分解(3年)2001年
 電気分解の理論が分かったところで、他の物質でも同様の結果になるか確かめてみましょう。ただし、電気分解した物質が、そのままプラス極とマイナス極に分かれるものを選ぶことが大切です。例えば、食塩水(塩化ナトリウム水溶液)は、Naイオンが水に溶けたままになるので適しません。

<準備>塩酸(5%)、H管セット、電源装置、ろ紙、マッチ

1 演示実験
2 生徒実験
・ 水素の爆発
・ 塩素の脱色作用

3 結果のまとめ
 2HCl(電気分解)→ H+ Cl
・ 化学反応式に+極−極を記入
・ 2H
+ O→ 2HO(水素の爆発)
4 他の年度の実践例
 実験11 塩酸の電気分解(2年)2000年
 塩酸の電解のしくみ(3年)2001年


第5時 
水の電気分解
(2年)2000年
 3回めの電気分解は、水です。化学反応式は単純ですが、純粋な水はほとんど電流を流さないので、水酸化ナトリウムを溶かします。これが原因で混乱らする生徒を増やさないためにも、3時間めに水を分解することをお勧めします。
<準備> 水酸化ナトリウム、H管セット、電源装置、線香、マッチ

1 演示実験
2 生徒実験
・ 水素の爆発
・ 線香の燃焼

3 結果のまとめ
 2H(電気分解)→ 2H+ O
・ 化学反応式に+極−極を記入

4 他の年度の実践例
 実験10 水の電気分解(2年)2003年

第6時 食塩水の電気分解(3年)2001年
 くどいようですが電気分解4回め。しかも、イオン化傾まで説明しなければ理解できないので混乱を招くかも知れない。それでも、とっても身近な物質であることと、生徒の手際が良くなっていることを考慮して挑戦してみた。

<準備>食塩、H管セット、電源装置、線香、マッチ

1 生徒実験
・ 水素の爆発
・ 塩素の確認

2 結果のまとめ
 NaCl(水に溶かす。電離)→ Naイオン+ Clイオン

いろいろな電気分解
 まだまだやりたりない、という生徒のために実験して下さい。ただし、科学的な考察が伴わないようなら無意味です。何でも良いとは言いませんが、やりっぱなしでないなら時間が許り実験して下さい。
 実験5 いろいろな電気分解(3年)2001年
 実験5-2 いろいろな電気分解(3年)2001年
 実験1〜5のまとめ(3年)2001年

第7時 化学電池のしくみ(3年)2004年
 今日から電気分解の逆、つまり、化学電池の学習に入ります。授業の導入で、レモンに2種類の金属を差し込み、電子オルゴールを鳴らせば生徒の関心は一気に高まります。

<準備> レモン、リンゴ、銅板、アルミ板、マグネシウムリボン、電子オルゴール、リード線

1 化学電池の紹介
2 化学電池のしくみ
・ 電解質水溶液に、2種類の金属を入れる
・ どんな水溶液でも良い
・ どんな金属でも良い

3 化学電池の設計図
4 次時の予告
・ 各自で水溶液、および、金属を持ってくる


第8時 化学電池(3年)2004年
 ほとんどの全ての班が成功する、とても楽しい実験です。2時間連続して行っても、退屈することはありせん。次から次へと新しい発見があるでしょう。

<準備> いろいろな果実や水溶液(生徒)、いろいろな金属(生徒)、銅板、アルミ板、マグネシウムリボン、電子オルゴール、直流電流計、リード線

1 実験準備
2 作り方の確認
3 生徒実験
4 まとめ
・ 実験結果を黒板に発表させる
5 他の年度の実践例
 実験10 電池を作る(3年)2001年

第9時 乾電池の分解(3年)2001年
 お勧めできる実習ではありませんが、時間があるならどうぞ! 生徒の反応は上々ですが、これまでの学習との関連性が薄いこと、理科室が汚れること、危険を伴うことを覚悟して下さい。

<準備> 使い古したマンガン乾電池(生徒)、ペンチ2本(生徒)

1 乾電池の内部構造
2 乾電池の解剖
3 分解した乾電池を調べる
・ 分解したものを、再び組み立てて豆電球につなげる
4 まとめ

ここから、酸・アルカリ、中和反応です。

第10時 酸・アルカリを調べる(3年)2001年
 酸とアルカリの性質を調べます。

<準備> 紫キャベツ(生徒)、いろいろな果実や水溶液(生徒)、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、石鹸、BTB液、リトマス液、フェノールフタレイン液、ガスバーナー、ビーカー、ろ紙、セロハンテープ

1 酸とアルカリの性質をまとめる
2 生徒実験
・ 紫キャベツ液を作る
・ いろいろな水溶液を調べる
3 まとめ
4 他の年度の実践例
 実験11 酸・アルカリ(1年)2002年

第11時 塩酸と水酸化ナトリウムの中和(1年)2002年
 塩酸と水酸化ナトリウムを中和させると食塩水になる。理論的には飲んでも安全だけど、、、。それからBTB液の反応はとても楽しいので、是非とも生徒1人ひとりに実習させて下さい。
塩酸+ 水酸化ナトリウム→ 食塩(塩化ナトリウム)+ 水

<準備> 塩酸、水酸化ナトリウム、BTB液、駒込ピペット、ビーカー、ガスバーナー、顕微鏡

1 混ぜるとどうなるか予想
2 演示実験
3 生徒実験
・ 中和する
・ 中和液から取り出した食塩の結晶を観る
4 まとめ
5 他の年度の実践例
 実験12 塩酸と水酸化ナトリウムの中和(3年)2001年
 ※ BTB液液の扱い方が詳しく書いてあります

 

第12時 硫酸と水酸化バリウムの中和 2002年9月(1年)
 中和反応によって生成する沈殿物の量から、水溶液中のイオン量を推測させました。これは1年での実践ですが、2001年度3年生の実践では、同じ内容を2時間かけて学習しました。これは、子どもの理解度がカリキュラムの編成によって変わる好例です。
硫酸+ 水酸化Ba→ 硫酸Ba(白い沈澱)+ 水

<準備> 硫酸、水酸化バリウム、BTB液、駒込ピペット、ビーカー、試験管立て

1 混ぜるとどうなるか予想
2 演示実験
3 生徒実験
・ 中和する
・ できた沈殿物の量を調べる
4 水溶液中のイオン量を推測させる
5 他の年度の実践例
 実験13 硫酸と水酸化バリウムの中和(3年)2001年
 実験15 中和するときの量(3年)2001年

第13時 いろいろな中和・塩(3年)2001年
 今日は中和反応式をまとめるだけではなく、時間が許す限り、いろいろな中和反応によって生じる塩を調べます。中和実験は今日で3回めなので、手際よく進むと思います。たくさんの発見があるのことを期待しています。
酸+ アルカリ→ 塩(えん)+ 水

<準備> 硫酸、水酸化バリウム、BTB液、駒込ピペット、ビーカー、試験管立て

1 いろいろな塩をまとめる
2 生徒実験

3 他の年度の実践例
 中和のまとめ(3年)2001年


第14時 中和するときのイオン量(3年)2001年
 第15時の発展、やや高度な実験です。硫酸と水酸化バリウムを中和させたときの混合液の電流の流れれやすさを測定することで、水溶液中のイオン量を推測させます。しかも、電流計も使うので、中学校理科の集大成の1つとも言える実験です。また、時間が許せば塩酸と水酸化ナトリウムを使って同様の実験を行いたい。3年前には行ったものと記憶している。

<準備> 硫酸、水酸化バリウム、BTB液、駒込ピペット、ビーカー、
電源装置(直流5V)、直流電流計、ステンレス電極、リード線(3本)

<授業の流れ>
1 実験の目的(1分)
2 実験装置と手順の説明
3 生徒実験
 ・ 
水酸化バリウム水溶液に硫酸を加えていく
 ・ 混合液の電流の流れやすさを測定する
 ・ グラフ化する
4 実験結果のグラフ化と考察
 
、水溶液中のイオンの種類と量を推測する
5 本時のまとめ


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