次に、再編成している理由を簡単に紹介します。
現在、日本で理科の教科書をつくっている出版社は5つです。本来なら、すべの出版社は文科省の指針に沿った独自のカリキュラムで編纂すべきです。しかし、同省の検定に合格するためには、示された通りの順にしておくことが無難です。
私はほぼ10年毎に行われる学習指導要領の改訂のたびに、時間がゆるすかぎり現場教師の立場から分析し、問題点を指摘しています。平成33年度から中学校で完全実施される次の改訂では、当初『アクティブラーニング』を中心にしようとしていましたが、私を含めた勇気ある方々の声によって取りやめになりました。そのことを知らない一部の団体や先生は、いまだに『アクティブラーング』という言葉を使って、これからの義務教育のあり方について語っています。文科省の影響力はとても大きく、弊害もそれに合わせて大きいのです。
次の改訂では、中学理科の生物分野で大きな変更があります。それは植物と動物の垣根をとりはらったカリキュラム編成をしていますが、これは重大な失敗である、と思います。大学レベルの学生に教えるなら問題ありませんが、中学生の学習段階には不適切です。現場の先生なら、私と同じ感想をすぐに述べられると思います。研究者ではわからない問題があると思いますので、同じ失敗を繰り返さないために記録、時間が許せば後日、別紙面で紹介したいと思います。